学校・会社に行けない…(不登校・出社拒否)


【はじめに】

「不登校」「出社拒否」という言い方、私はちょっと抵抗があります。ご本人が積極的にそれを選択しているように聞こえるから…。ただ、この言葉を入れないと検索キーに引っかからず、お伝えしたいことが伝わらないと思ったので、便宜上使っております。その点はごめんなさい。思いを添えておきたく、冒頭に書かせていただきました。

 

大抵の場合ご本人は頭では「行かなくちゃ」と思っていて、自分の体がいうことをきいてくれないことにいら立っていたり、自分を弱い、だめな人間だと責めていることも少なくありません。

 

ご家族様は「行かない」のではなくて「行けない」のだと、認識を書き換えないとご本人とのコミュニケーションは食い違うばかりになってしまうでしょう。

 

「行きたいくない」という言葉をご本人が用いることもあります。それを聞くと本人の意志であるとも言えますが、行きたくなくなるほどのしんどい状況がある、ということです。それがなければ行く可能性は高くなるということだと思います。

 

ということで、ここからは「学校や会社に行けなくなってしまった方」としたいと思います。

  


【症状】

自宅や自室にいれば普通に過ごせているのに朝学校や会社に行く時間が近づいてくると、頭が痛くなったり身体がだるくて起きられなかったりして、どうしても行くことができません。

 

家の中の様子をご家族が見ていると、別に熱があるわけでもないし食欲も普通にあったりして元気そうに見えるので、サボっているんじゃないか?怠けているんじゃないか?甘ったれてんじゃないか?などと感じてしまい、責めたくなってしまうこともあるかもしれません。上記のように認識が違っているとケンカになってしまうこともあると思います。

 

このページの冒頭にも書きましたが、ご本人は行こうと思っていますし、このままではいけないとも思っています。身体がいうことをきいてくれないので、頑張っているのに結果としては行けず、さらに登校時間が過ぎてもう今日も休むと決まるとだるさが軽くなったりして動けてしまうので、その頑張りを理解してもらうどころか疑われてしまい、その苦しさも加算されていってしまいます。

 


【原因】

 

➀ストレス

やはりストレスが大きいです。相当何かを我慢していたのではないでしょうか。

主なストレスとしては以下が考えられます。

  • 学校や職場の人間関係
  • 学業や業務の負荷・不振
  • 家庭の事情

 

明らかないじめやパワハラ、モラハラは言うまでもありませんが、最近はネットの世界があるため、SNSなど表面には見えにくいストレスもあります。

 

グループやコミュニティの中で嫌われているんじゃないか?仲間外れにされるんじゃないか?裏で自分以外のみんなが自分の悪口を言ってるんじゃないか?などという不安を抱え緊張しながらやりとりに追われてしまっていることもあるでしょう。また、ネットは24時間いつでもつながれるので、逆に、常に見られている(見張られている)ような感覚にもなり、安まる時間が確保しにくくなっている現状があります。それぞれのグループやコミュニティの中には『暗黙の了解』なるものが存在していることもあり、それによって起きるストレスもあります。

 

勉強や仕事をやってもやっても終わらないとか、時間が足りなくて焦りばかり募ることもあるでしょう。量の問題もあれば質的にも高いパフォーマンスを求められてそれがしんどいこともあるでしょう。

 

ご家庭の事情としてはご両親のケンカや祖父母との関係、家の宗教の問題、家族の病気や死、兄弟姉妹間の比較(親御さんがやっていないつもりでもふと出た言葉から自分はダメだと思うこともあります)などが挙げられます。

 

 でもこのなかのどれかとういうよりはこれらがそれぞれ複合的に絡んで大きなストレスとなってしまっている場合が多いです。

 

そう言うとご家庭にも原因があるということになり、ご家族の方々は「自分のせいではないと思いたい」という気持ちが自然と出てきますので、「誰が悪いんだ?」と犯人捜しをしてしまいがちになります。でもそれをやってもあまりいい結果は得られません。むしろご家族のみなさまも、それぞれが何らかのつらさを持っているはずなので、これをチャンスとして今よりも一人一人が幸せになるためのことを考えられたらいいと思います。

 

②発達障がいの傾向が隠れていることがあります

 

学校や会社に行けなくなっている方全てに当てはまるわけではありませんが、

なんらかの発達障がいの傾向を持っている方が多いです。

 

この傾向があると、考え方やものの見方、記憶の刻み込まれ方に特徴があり、身体にストレスがたまりやすいのです。

 

嫌なことのインプット具合が深く、なかなか取れてくれない傾向があります。そのため、大抵の方が忘れてしまいそうなことを、忘れることが出来ません。自分にとって不快なもの・危険なものに対する恐怖心やそれらがまたいつ自分に向かってくるのかという不安感も大きくなってしまうという傾向もあるので、外の世界がものすごく恐ろしい場所だと認識してしまっています。

 

もしも外に自分を狙う敵や毒蛇が待ち構えていたら、誰でも恐怖で出られませんよね。発達障がいの傾向のある方の目には、外の世界はこのように映っていることがあります。

 


【対応】

 

➀ご家族などご本人と接する方にお願いしたいこと

体にたまったストレスは運動や労働などの身体的な疲れと違って、1日ゆっくり休んだら取れるというものではありません。学校や会社を数日~数か月お休みしても取れない場合が多々あります。

そういうものだという理解がご本人もご家族や周囲も持っていないと、休めば休むほど、「これだけ休んでるんだからよくなるはず」というプレッシャーが外からも自分の中からも掛かってきて、それが新たなストレスとなり、逆に休まらない日々になっていってしまいますので、ご家族や関わる方はおおらかな心持ちで、本人に焦る気持ちが出ないようにサポートしていただけたらと思います。

②カウンセリングで行っていくこと

ご本人様の思いをまずはじっくりお聞きします。その上で何が問題になっているのかを探り、ひとつひとつ、解決策を考えていきます。ご本人様とじっくりお話しし、出来るところから無理なく取り組んで参ります。

 

また、体にたまったストレスやトラウマなどには、FAP療法を行う場合もあります。

FAP療法については

→ こちら

 

③ご本人にとって安心できる復帰を考えます

 

また、学校や会社に戻る時は、本人が安心できる場になるよう調整が必要になることこともあります。人間関係やその方に合った学び方・仕事の進め方を探していくことが、安心感を生み、やってみようという気力につながることがあります。

 

学校に行けなかった間に進んでしまった勉強の遅れをどうやったら取り戻せるのか、どこから手をつけたらいいかわからなくなってしまっているということがプレシャーになり、出来ないという恐怖と、出来ないことで周りにバカにされるのではないかという恐怖から復帰のハードルが上がってしまうこともありますので、そこの安心感を得ることもとても大切です。

 

ひとりひとりに合った学習の仕方を探る支援や働き方へのアドバイスは併設のまんてんエデュケーションで対応いたします。

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