強迫性障害

〈症状〉

強迫性障害(きょうはくせいしょうがい)は、ある行為(強迫行為)や思考(強迫観念)を止められないという症状で、トラウマ(心の傷)が影響して起こる疾患のひとつです。ご本人もおかしい、バカバカしいと思っている場合と、そう思えなくなっている場合があります。
アメリカ精神疾患の診断基準であるDSMーⅣでは、不安障害というカテゴリーの中に入っていましたが、Ⅴでは一つの大項目になりました。

「強迫行為」というのは、手を洗う、確認をする、数を何度も数える、何かをするときに一連の決まった手順を踏まないと次に進めないなどの行動をいいます。

「強迫観念」は、人に危害を加えてしまうんじゃないか、罰が当たるんじゃないかなどという思考が頭をぐるぐるして止まらないというもの。ぐるぐるする内容については前述はほんの代表的な例で、実際のところは多岐にわたり、それぞれの生活や経験から出てくるようです。
強迫行為には強迫観念が伴っていますが、強迫観念は強迫行為を伴わない場合もあります。

家族や親しい人が巻き込まれることもあります。例えば、バイ菌が怖くて手洗いが止まらない方は、家族が帰って来ると、「ねぇ、ちゃんと手洗った?」と聞いたり、すぐに洗わないと怒り出したり。はじめはちょっと神経質なのかな?くらいの感じですが、放っておくとじわじわと度を越してきてしまいますので、周りがそれをうっとおしく思ったり、それが元で喧嘩になってしまい、二次障害として人間関係にヒビが入ってしまうこともあります
強迫性障害は“静かな疾患”で、はたから見ているとそんなに疲れることをしているように見えませんが、脳はずーっとぐるぐるとフル稼働しているので膨大なエネルギーを消耗しています。そのためいつもぐったり疲れ切っています。それでもまだ強迫行為は症状が表面にでているので比較的周囲の人に気付いてもらえ、治療にもつながりやすいのですが、強迫観念は頭の中で起きているので発見されにくく放ったらかしになってしまうことが多いです。そして長引けば長引くほど悪化もする傾向が強いです。

〈原因〉

最近の研究では脳の機能に問題が生じているということがわかってきています。
脳内の神経伝達物質(セロトニンなど)がうまく働けておらずバランスを崩してしまっていると言われています。

ここからは私見ですが、脳が疲れによってうまく動かせなくなっていて、『切り替え』がうまく出来なくなっている状態だと考えます。切り替えが出来ないので同じことを繰り返してしまうし、 考え方や見方を変えることも困難になっています。

強迫性障害の人の脳は例えて言うと、ずっと止められないランニングマシンに乗って走り続けているような状態です。止めるスイッチがうまく働いてくれないので、これ以上走れないくらいくたくたなのにやめることができません。
表面上はご本人の意思でやっているように見えてしまってますので、周囲の方々もどうすればいいか困っているというのが現状です。
強迫性障害の方が訴える不安の内容を見てみると、その疾患に罹ってない方からすれば、そこまで不安に思わなくてもいいのでは?そこまでやらなくてもいいのでは?と思われることばかりです。なのでなかなか理解されにくいのですが、実はそれはある目的のために創り出された不安なので、不自然な内容なのです。
その目的というのは『本当の不安を隠すこと』です。深いところに横たわっている不安を見るのが怖すぎるために、隠しておくベールとして創り出しています。
それは心の傷(トラウマ)によって抱えた自己無価値感(自分には価値がないという感覚)と無力感(自分にはなんの力も能力もないという感覚)です。
実は私たち人間にとって、このふたつの感覚はものすごく辛いと感じるものです。極端なことを言ってしまうと精神的に参ってしまっている人の行動の動機が、“これらをなんとかしようとしているため”ということに行き着く場合がほとんどと言ってもいいくらいです。
それほど辛いことなので、なんとか克服しようとするか、目を逸らせて見ないよう感じないようにしようとします。
強迫性障害はその両方をやっている感じです。心配事をつくってご自分の無力感・無価値感から目を逸らせ、強迫行為を行って心配事を“自分の力で”解決しようとします。
一時的には対処できた感覚になり安心感が出るのですが、実際には根本のトラウマは解消されていないのでまた不安に襲われます。そしてまた不安を解消しようと強迫行為を繰り返すということになってしまっているのです。
脳が疲労している、と書きましたが、その原因としては、環境からの影響が大きいです。
家族関係や学校・職場などの人間関係のストレス、学業や仕事のストレスなどで精神的な疲労がたまってしまいます。このストレスがなくなるだけでも症状が楽になることもあります。
他にも切り替えることが困難になる理由というのがあります。
生まれつきの脳のタイプ(器質的な要素)が考えられます。
記憶力の高い方、ご本人やご親族に発達障がい傾向のある方は脳へのインプット具合が強めなため切り替えるのが大変になっている場合があります。

〈FAPを使った治療法〉

一般的には精神科や心療内科で薬物療法と認知行動療法を組み合わせた治療が行われています。
脳内の神経伝達物質の不具合を整えるのに薬が有効だとされています。そして思考の癖や行動修正のために認知行動療法(暴露反応妨害法を含む)を行っていきます。暴露反応妨害法というのは不安が襲ってきても強迫行為を我慢してその不安に慣れていくというものです。
確かに高い治療効果が得られるという報告がされていますが、この暴露反応妨害法に耐える時にものすごく苦痛を伴うので、これが辛すぎて治療を断念する人もかなりの数いらっしゃるのです。
そこでiカウンセリングでは、トラウマ療法のFAPを使います。
FAP療法には3つの大きな効果があります。
1つ目はトラウマの根本治療
2つ目は脳や身体にたまった精神的な疲れ・ストレスを軽減する
3つ目は遺伝子コードをつかったFAPで器質的な部分にもアプローチできる
強迫性障害の治療の場合、この3つがあるためクライエント様の負担がとても軽くなります。
まず1つ目の効果、トラウマのケアを行うことで、根本の深いところにある不安を軽くしていきます。
それによってもともと隠しておきたかった辛さが取れてくるので、強迫の症状でそれを頑張って隠しておく必要がなくなってきます。その結果、症状が要らなくなってくるのです。
2つ目の効果で精神的な疲れを軽減していきます。疲れによって切り替えがうまくいかなくなっていたので、それを取ることによって心身を軽くし、切り替えがしやすくなるようサポートします。
この2つ目の効果ですが、実は精神的な疲れやストレスをダイレクトに軽減させる効果のある治療法というのはあまり見当たりません。この効果を期待できるのは大きいです。
3つ目の効果によって器質的な部分へのアプローチが可能になってまいりました
暴露反応妨害法はこれらのケアをしたあとで症状が残っていればiカウンセリングでもやっていきます。でもケアをする前とは格段に取り組みやすくなっております。つまり我慢が楽になっているということです。暴露反応妨害法は実際の行動が伴ってくるので定着率がよく、自信にもつながりますのでやっぱりいいですね。

 

〈複合的なアプローチが大切〉

強迫性障害の治療は複合的なアプローチが必要です。
症状自体はFAPを使った方法で軽くなっていきますが、新たなストレスを抱え込んでしまわないよう、環境要因にもアプローチする必要があります。対人関係が大きなストレスの原因になっていることが多いので、今度はそのストレス自体を小さくしていくことが必要になるのです。
疲れてしまうコミュニケーションのクセは実はトラウマからきていることが多いので、トラウマ治療をすることである程度感じ方は変わってくるのですが、具体的にはどんな距離感で人と接していいかわからなくなっている場合もありますので、自分が楽でいられる接し方を身につけていけるようサポートします。

〈強迫性障害のカウンセリングの進め方と目安〉

これは個人差があるので参考程度にしていただければと思います。
①まずご相談内容は事前にメール等でお聞かせいただきます。
②ほとんどの方に初回からFAPを受けていただいています
 強迫性障害の方は症状がかなり強いのではじめのうちはあまり間隔を空けず
 数回受けていただくのが効果的です
 この段階ではリセットコースを利用していただく方がいいと思います
③心身が楽になってきたと感じてこられたら行動療法を取り入れたり
 対人関係についての対処に取り組んでいきましょう
回数はまずは2回目以降、10回~15回くらいリセットコースを受けていただいて効果をみてその後も必要そうなら続けさせていただき、楽になってきてあとはご自分とご家族でなんとかやっていけそうならそこで一旦終了とし、時々メンテナンスでいらしていただいたり、なにかあれば来ていただいたりでよいと思います。

〈iカウンセリングが思うこと〉

 発症のきっかけはちょっとしたことだったりします。例えば、鳩の糞を踏んでしまってとても嫌な思いをしたとか、テレビで菌の話をしていたとか…。

そういうことに加えて、過去に親とか誰かから「鳩の糞ってすごいばい菌だらけで危ないんだって~」などという話などを聞いてしまっていると、情報が重なって過剰に怖がる様になってしまいます。

 

過去に心の傷を負っていて、その傷によって自分に自信が持てていなかったり、愛されないとか価値がないと感じていたりすると、この疾患になりやすくなります。

 

この疾患は

“不安が心の深いところにあるよ”

“ずっと悲しい思いをしている自分が心の奥に隠れていて

探してくれるのをまってるよ”

って、お知らせをしてくれています。

 

身体はおそらくよかれと思ってやっています。前述しましたが、その不安を感じないようにするために、他の不安で根っこの不安を隠し、見ないで済むように、その辛さから身を守るために。

一時的にはそれで確かに不安から身を守れるのですが、そうして作られた安心は長続きしないのです。結局根本が解決していないので、繰り返し不安は襲ってきます。そして繰り返し、不安を消すためのことをやってしまう。

 

「もう誤魔化さなくていいよ」

「ちゃんと自分を大切にして行こうよ」

とも言いたいんだと思います。

もう自分の中の不安を隠して無かったことにしないで、ちゃんと見つけてあげて大事にしていきましょう。

 

放っておけば悪化してしまうことが多いので、本当にできるだけ早く、治療につながることを切に願います。