解離性障害(解離性同一性障害・離人感など)とトラウマ

解離性障害とは、通常ではまとまっている自己:思考・記憶・感情・行動がバラバラになってしまっている状態を指します。

 

具体的には次のような症状がみられます。 

◆記憶が曖昧になる又は思い出せない
◆自分の体じゃないような感じがする

◆自分を客観的に又は後部上方から見ている自分がいるように感じる(離人感)

◆自分の中に他に何人か別人格がいる

◆自分を罵倒する声が頭の中に響く

◆知らない間にリストカット等のケガをしていたり、薬を多量服薬(オーバードーズ・OD)してしまうことがある

◆時間の流れを感じられない

◆まとまった時間の感覚がない

◆楽しいことをしている筈なのに楽しいと感じられない

◆ストレスがかかっていることを感じられない

 

解離自体は身体に備わった機能の一つで、危険な状態に陥ったときに、苦痛を最小限に抑えるために発揮される能力です。自然界では、草食動物が肉食動物に捕まる時、草食動物は痛みを感じないのだそうです。解離を起こし、噛まれる痛み、食べられる恐怖を感じないようになるそうです。難を逃れると、身を震わせて解離状態を解き、またそれまでの生活に戻っていきます。

ところが、この切り替えがうまく出来なくなり、生活に支障を来たすようになってしまうと解離性障害という“病気”になります。

 

【原因】

解離は急性ストレス障害(ASD)・外傷後ストレス障害(PTSD)の症状の1つでもあります。その原因の多くが強いストレスやトラウマ体験です。事件や事故・災害に巻き込まれ命の危険にさらされた、虐待(暴力など身体的虐待・暴言など精神的虐待・ネグレクト・性的虐待)やいじめを受けた、レイプされた、またそうした現場を見てしまった…。このような経験がトラウマとなって心身に影響を及ぼします。

 

あまりに過酷な経験であるため、普通に振舞い生活するのが困難になります。そのため身体は記憶を曖昧にしたり思い出さないように封じ込めたりして何とか生きていける様にするのです。

 

そうまでして身体は自分を守ろうとしてきたということです。なんと健気な症状でしょうか。障害というところまで来てしまったのなら、それは身体がもう助けて…と言っているのです。

 

【対応】

直接のきっかけとなった事実はもう過去のものなのか、今でも続いているのか、それによって対応は変わってきます。どちらにせよどこからか取り掛からないと身体はいつまでも緊張状態のままです。疲労感も抜けず、徐々に身体が動かなくなっていってしまいます。そうなりつつあることを感じている方もいらっしゃるのではないでしょうか。何かを変えたいのにどこから手を付けていいかわからず困ったら、どうぞご相談ください。現在の症状、環境、人間関係など総合的にお話をうかがい、お一人お一人に合った対応策をご一緒に考えていきます。

 

まず、心身の危険が今も続いているならそれに対応するとこが先決です。まだ渦中にあるなら、解離は心身のバランスを保つためにまだ必要なものになるので、治療してしまうほうが危険な場合があるからです。

 

安全が確保されたら、身体に溜まった疲れを取るための休養をしっかり取りながら、バラバラになっている記憶や感覚をつないでいきます。脳内では下記【脳内で起きていること】があるため、右脳と左脳の疎通性を高めることで、トラウマ記憶の言語化・排出が出来るようになっていきます。※1

 

トラウマ体験というのは、上記のプロセスがが進み自身が体験したことの全体像を把握出来るようになると、そこを乗り越えてきた自分に対して、むしろそれまで以上に自信と力を持てる様になるのです。

 

※1 この中心となる過程を進めていく手法として、トラウマ療法であるFAPを使います。

 

    FAP療法については→こちらをご覧ください

    FAP体験談は→こちらをご覧ください

DSM-Ⅳ-TRによる分類

解離性障害は米国精神医学会出版

『DSM-Ⅳ-TR(精神疾患の分類と診断の手引き)』による分類では

◆解離性健忘(以前は心因性健忘)

◆解離性とん走(以前は心因性とん走)

◆解離性同一性障害(以前は多重人格性障害):DID

◆離人症性障害

◆特定不能の解離性障害

とされています。

脳内で起きていること

トラウマ体験をされた方の脳は海馬や扁桃核という記憶を司る部位に影響を及ぼすことがわかっています。海馬は萎縮を起こし、正常な記憶が出来なくなります。扁桃核は危険な情報をインプットし、次に同じ状況下に陥りそうになった時に対処できるように働く部位です。外傷体験は強烈に記憶され、解除が困難になるとされています。また、被虐待者は右脳と左脳の連携がうまくいかなくなるということが知られています。トラウマ記憶は右脳に蓄えられますが、この連携がうまくいっていないと、言語を司る左脳にうまく伝わらす、言葉によって外に排出することが難しくなります。感覚的には危険な情報を身体は知っているのに海馬での記憶が曖昧なため、記憶と感覚が分離されてしまっている状態をつくり出すのです。そして身体が覚えている危険な条件にふと出会ってしまった時に激しいフラッシュバックが起きます。

 

トラウマ記憶の処理には言語でのセラピーがあまり効果が無いことも研究されており、EMDR、フォーカシングなど、身体にアプローチする療法が開発されてきました。i カウンセリングで行っているFAP療法もトラウマ記憶に効果を発揮しています。